固定資産税評価額と実勢価格の乖離とは?違いと確認のコツを解説

不動産売却

落合 琢麻

筆者 落合 琢麻

不動産キャリア2年

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「固定資産税評価額」と「実勢価格」という言葉を目にしたことはありませんか。


不動産に関する税金や売買、相続などの場面で「この数字はいったい何を意味しているのか」と疑問を持つ方も多いはずです。


特に、両者の金額に大きな差が生じることがあるため、その理由や背景を知っておきたいと考える方も増えています。


この記事では、固定資産税評価額と実勢価格の違い、金額がかけ離れてしまう理由、その見積もり方法や利用のコツについて、分かりやすく解説していきます。


これから不動産を売買する方や相続をお考えの方も、ぜひ参考になさってください。


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固定資産税評価額とは何か、実勢価格とは何か

固定資産税評価額とは、市町村の評価員が土地や建物の面積・立地・構造・築年数などをもとに、国が定める「固定資産評価基準」に従って算出し、固定資産税や都市計画税、不動産取得税などの税額を決定するための評価額です。


評価替えは原則3年に一度行われ、課税の公平性を重視した制度設計となっています。



一方、実勢価格とは、実際の取引で成立した価格、すなわち売主と買主の合意によって決まる市場価格を指します。


取引条件やその時々の市場動向、物件の状態などによって増減するため、あくまで「現実の取引価格」として扱われます。

以下の表は、両者の基本的な違いを簡潔に示したものです。

項目 固定資産税評価額 実勢価格
算出主体 市町村の評価員(国の基準に基づく) 売主と買主(市場により決定)
目的 税金の算出のため 取引の意思決定、売買の際の基準
反映タイミング 原則3年に一度の評価替えによる固定的な評価 日々の市場動向や個別条件が反映される動的な価格

このように、固定資産税評価額は税負担を公平にする目的で行政的に算定される評価額であり、実勢価格は取引に基づく「生きた価格」であるという性質の違いがあります。それぞれの用途や使われる場面が異なる点をご理解いただくことが大切です。


固定資産税評価額と実勢価格の乖離の仕組みと背景

土地の固定資産税評価額は、国が毎年公示する公示地価の約7割を基準として市町村が評価額を算定します。


そのため、土地価格の市場取引における実勢価格と比べると低めに設定される傾向があります。


この乖離は、まず「公示地価×70%」という仕組みから生じます。なお、評価替えは3年に一度行われるため、市場の変動を即時に反映しない点でも乖離が大きくなります。



建物の場合は「再建築価格方式」を用いて評価が行われます。


これは、同じ建物を現時点で新築したらかかる費用を基準に、築年数に応じた損耗(経年減点補正)を乗じて評価額を算出する方式です。


新築当初は定価の50~60%程度の場合もあり、築年数が進むと実勢価格との乖離が大きくなる傾向があります。

さらに、評価替えの頻度が3年に1度である一方で、実勢価格は立地条件、需要動向、経済情勢などによって年々変動します。


この評価替えのタイムラグが、固定資産税評価額と実勢価格のズレを生む背景となります。


即ち、評価替え直後に市場が急騰した場合には乖離が顕著となり、逆に市場が下落しても評価額が据え置かれるため乖離が継続することがあります。



以下の表は、土地と建物における乖離の要因を整理したものです。

項目土地建物
評価基準公示地価の約70%再建築価格×経年減点補正率
乖離の主な要因公示地価との水準差、評価替えのタイムラグ築年数による減価、実勢価格との乖離拡大
更新頻度3年に1度3年に1度(再建築対応と減価修正)



乖離を簡易的に見積もる方法と限界点

固定資産税評価額からおおよその実勢価格を推測する方法として、簡易計算式が使われます。



土地については「固定資産税評価額 ÷ 0.7」で公示価格の目安を求め、さらに実勢価格を想定する場合は「さらに1.1倍」などを掛ける場合があります。



例えば、評価額が700万円であれば、700万円 ÷ 0.7 = 約1,000万円、そこに1.1倍を掛けると約1,100万円となり、実際の取引価格の目安として参考になります。


これは公示地価の7割が評価額の基準となり、市場での取引価格は公示地価の1.1倍程度であるという統計的な傾向に基づいた計算です。

項目計算式説明
公示価格の目安評価額 ÷ 0.7公示地価の70%が評価額の基準
実勢価格の目安(下限)(評価額 ÷ 0.7) × 1.1市場取引では公示価格より1.1倍になる傾向
実勢価格の目安(上限)(評価額 ÷ 0.7) × 1.2物件条件によってはさらに高くなるケースあり

ただし、このような簡易計算には限界があります。


実勢価格は立地や需要、土地の形状、接道状況、周辺環境など、評価額に反映されない要素によって大きく変動します。


例えば、駅近・人気エリアであれば算出した目安よりも高くなったり、変形地や需要が低い地域では逆に低くなったりと、実際の価格とは乖離が出る可能性があるため注意が必要です。



正確な実勢価格を把握したい場合には、不動産会社による査定や、不動産鑑定士の専門的な評価を利用することが重要です。特に相続や売却、資金計画など重要な判断が絡む場合は、正確な価格を得るために専門家への相談をおすすめします。


ターゲットへのアドバイス

情報の使い方と次のステップ

固定資産税評価額と実勢価格の違いを把握されたら、まず資金計画に活用しましょう。


たとえば土地の実勢価格は「評価額÷0.7」でおおまかな相場を把握できますが、実勢価格は需給に左右されるため、あくまでも目安です。


評価額だけに頼らず、市場の傾向を踏まえて複数パターンの資金計画を作ると安心です(例:評価額700万円→約1,000万円が目安) 。



次に、評価額と実勢価格の乖離が大きいと感じたら、市町村への確認が重要です。評価替えの年(概ね3年に一度)には、課税明細書で評価額を確認でき、市町村の資産税課で評価根拠を閲覧することもできます。


不服がある場合は、「固定資産評価審査委員会」への審査請求も可能です 。

必要に応じて専門家の力を借りる判断基準としては、以下のようなケースが挙げられます。

相談事由相談先判断の目安
評価額と実勢価格の乖離が大きい税理士・司法書士・不動産鑑定士適正な価格を明確に説明できること
資金計画を税額も含めて設計したい税理士税負担と所得・費用の整合性が取れているか
売却や相続で根拠ある評価額が必要不動産鑑定士査定ではなく鑑定評価を得られるか

専門家に相談することで、ただ価格を知るだけでなく、説明力や将来の税負担も踏まえた提案が受けられます。


たとえば、不動産鑑定士の評価は法的にも認められた説明資料として使えますし、税理士は税額や減価償却など資金の流れ全体を踏まえた助言が可能です。



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まとめ

固定資産税評価額と実勢価格は、似ているようで全く異なる基準によって算出されています。


税金計算の基準となる固定資産税評価額は、実際の取引価格とは大きく乖離することが多く、その理由には計算方法や評価頻度の違いが関係しています。


簡易的な目安を用いる方法もありますが、土地や建物の個別事情によって大きく異なるため、必ずしも正しい金額が導き出せるとは限りません。


資金計画や売買検討の際には両者の違いをよく理解し、必要な場合は専門家に相談することで、より納得のいく判断へとつながります。

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