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空き家火災の原因と起こさないための対策方法は?所有者の責任も解説

空き家

新日本不動産株式会社 新日本

筆者 新日本不動産株式会社 新日本

空き家火災の原因と起こさないための対策方法は?所有者の責任も解説

空き家の所有者は、維持管理を徹底し、近隣住民に迷惑をかけないように注意が必要です。
とくに、防災と防犯への対策が重要で、もし火災事故を起こしてしまえば、深刻な責任を問われかねません。
この記事では、空き家火災の発生原因とその具体的な対策方法、そして事故が生じた際の所有者責任について解説します。

空き家火災の原因

空き家火災の原因

消防庁が本年6月に報告した「令和5(1〜12月)における火災の概要」によると、火災の原因でもっとも多いのが、タバコによるものです。
ほかにも、空き家に関わるものとしてガス漏れや配線機器のトラブル、放火などが報告されています。
ここでは、それぞれについてみていきましょう。

タバコの不始末

なぜ、誰も住んでいないのにタバコの不始末があるのかと、疑問に思われる方もいるのではないでしょうか?
実際のところ、誰も住んでいないからこそ、他人が出入りしたり占拠したりします。
このような侵入者の吸ったタバコの不始末が、出火につながる可能性は否定できません。
また、適切に管理がされずに放置されている物件は、草木が伸び放題になってしまいます。
そのため、ゴミを不法投棄するのに都合の良い場所になる可能性が高いです。
このような状況下で、通行人がタバコをポイ捨てすると、すぐに引火して、火災が発生してしまいます。

ガス漏れや配線機器のトラブル

頻繁ではないものの年に数回、あるいは数か月に1回程度の訪問のために、空き家にガスや電気をとおしたままにしている所有者は少なくありません。
しかし、ガス漏れや配線機器のトラブルによって発生するケースも、多く報告されています。
住宅が経年劣化するのと同じで、ガスや電気の配管も劣化は避けられません。
掃除の行き届いていない物件は、空気がよどみ、室内のいたるところにほこりが蓄積します。
その蓄積したほこりに、劣化によって漏れたガスや電気が引火して火災を発生させます。
また、小動物が侵入して配線を壊してしまうケースも、まれですが出火の要因の一つです。

放火

消防庁の報告では、出火原因でもっとも多いのがタバコによるもので、件数としては3,500件弱です。
しかし、放火と放火の疑いを合わせた件数は4,000件以上となり、タバコの件数を上回ります。
夜になっても電気が点灯せずに人の気配が感じられない物件や、外部から敷地内が見えやすい物件などは、放火犯のターゲットです。
また、ドアや窓の施錠が壊れていることで侵入しやすい物件やごみなどの燃えやすいものが放置されている物件も狙われる可能性があります。
放火の可能性を常に意識し、犯人を近づけないための対策を講じておくのが重要です。

空き家火災を起こさないための対策方法

空き家火災を起こさないための対策方法

所有者は、空き家が火災を起こす可能性の高さを理解し、事前にそのような事態に陥らないように万全の対策を講じておくのが重要です。
そして、対策を講じる際には、物件を将来的にどのようにしたいのかを明確にしておく必要があります。
ここでは、火災を起こさないための3つの対策方法をご紹介します。

物件の管理を徹底する

現時点では空き家であっても、いずれその物件を有効活用したいと考えるならば、管理を怠らないことが重要です。
侵入者による火の不始末やタバコのポイ捨て、放火被害を避けるには、人の存在を周囲に意識させる必要があります。
頻繁に訪問して、物件の手入れをするのが一番の防火対策です。
しかし、遠方に存在していたり、どうしても事情があったりなどで、所有者が管理できないケースは少なくありません。
このような場合、住宅管理の専門業者や、ホームセキュリティサービスの利用も有効な対策の一つです。
火災を起こさないように、適した管理方法を選択する必要があります。

物件を解体して更地にする

近い将来、空き家を活用する予定がないならば、速やかに解体して更地にしてしまうのも有効な対策方法の一つです。
燃えるものがなくなれば、火災の心配がないため、有効な対策方法といえます。
ただし、物件を解体してしまうと、土地だけが所有物として残ってしまう点に注意が必要です。
なぜなら、土地や建物などの不動産を所有していると、毎年固定資産税を納める義務があるからです。
固定資産税は、居住用の家屋が存在している土地に対しては、軽減措置がとられますが、物件を解体して更地にすると、軽減措置が受けられません。
家屋を解体して更地にするのは、火災を防ぐ手段としては有効ですが、税負担の変化にも十分に注意しなくてはなりません。

売却してしまう

将来的に、空き家とその敷地も有効活用する予定がないならば、そのすべてを売却してしまうのも一つの対策方法です。
空き家に限らず、不動産の所有は、固定資産税の負担や維持管理費用の支払いを伴います。
しかし、売却してしまえば、防火対策になるのと同時に、物件の維持にかかる定期的な出費も抑えられます。
売却で注意するのは、売却した際に得られた利益にかかる所得税です。
物件の取得日や利用状況によっては、税の優遇を受けられる場合があります。
将来的な物件の活用方法と維持管理を含めた防火対策、そして税負担を総合的に考慮して売却の手段を検討するのが重要です。

空き家火災が起きた際の所有者責任

空き家火災が起きた際の所有者責任

入念に防火対策を講じていても、想定外の事情によって火災が生じる場合があります。
事故が起こってしまったら、その原因と責任の所在を明確化させなければなりません。
ここでは、物件の所有者としての責任を解説していきます。

適切に管理されていれば原則責任は問われない

所有している空き家から出火し、近隣住民に被害が及んでも、物件の所有者は原則として法的責任を問われません。
これは、失火責任法に基づくもので、出火原因が「軽過失」の場合に適用されます。
軽過失とされるには、所有者が細心の注意を払い、徹底した物件の維持管理に努めているのが前提です。
所有者の責任は問われませんが、迷惑をかけた近隣住民に対し、お見舞い金を支払うのが一般的な慣習です。
社会的な配慮として、適切な対応で責任を果たす必要があります。

重過失と判断されると賠償責任を負う

空き家が火災に遭い、その原因が所有者の過失にあると判断された場合、「重過失」として損害賠償責任を負わなければなりません。
たとえば、物件の管理を怠って長期間放置していたり、放火の危険性を察知していながら、対策を講じていなかったというケースがあげられます。
重過失を問われた際に気を付けなければならないのが、賠償金の支払いです。
火災保険は、居住している住宅を対象にしているのが一般的で、重過失の賠償金に備える保険は多くありません。
空き家であっても、物件の管理と保険の備えは、所有者の大きな責任です。
そのため、あらかじめ加入できる保険を検討し、必要な補償を備えておく必要があります。

放火による火災の責任はない

空き家の所有者責任は、所有者の過失の程度によって変わります。
そのため、放火については火を放った犯人が刑事責任を負うべきもので、所有者責任を問われません。
ただし、軽過失のときと同様に、迷惑をかけた近隣住民への道義的な責任を果たす必要があります。
いずれにせよ、火災を発生させた責任がないとはいえません。
日ごろから、防火対策を十分に施し、近隣住民とも円満な関係を築いておくのも重要です。

まとめ

空き家の管理を徹底したいと考えていても、さまざまな事情によって対応できないケースは少なくありません。
しかし、火災のリスクを十分に認識し、とれるべき最良の対策を講じておくのが所有者の責任といえます。
万が一の事態を想定し、大切な資産を維持してもらえれば幸いです。


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